永松茂久 著 · 2019
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話し方の上達を左右するのは、話術よりも自己肯定感などの心の持ち方です。そこで、会話に苦手意識がある人に勧められているのが、苦手な人との会話を避け、大好きな人と話す時間を増やすことです。話しやすい相手との会話で自信がつけば、ほかの人とも話しやすくなります。うまく話す練習は、話す相手を選ぶところから始まるわけです。
実践のヒント 今週、一緒にいて楽な人と話す時間を、意識して 1 回増やしましょう。
著者が会話の土台に置くのは、三つの人の心理です。人は誰でも自分自身を一番大切に思っていること。認められたい、理解されたいと強く望んでいること。そして、自分をわかってくれる人を好きになること。だからこそ、会話では自分が目立とうとするより、相手を主役にするほうが好かれます。具体的なコツの多くも、この三つの心理から導かれています。
実践のヒント 次の会話では、相手が主役になれる話題を一つ選んでから話し始めましょう。
会話で何より大切なのは、相手を否定しないことです。否定されない場があると、人は安心して話せるようになり、自己肯定感も高まっていきます。反対に、「でも」「だって」「どうせ」「ダメ」の四つは、相手の話を否定する響きを持つため、本書ではまとめて 4D ワードと呼び、使わないよう勧めています。口癖になっていると、自分ではなかなか気づけない言葉です。
実践のヒント 1 日だけ 4D ワードを封印し、口にしかけた回数を数えましょう。
聞き役にまわるときの基本の反応は、笑顔でうなずくことです。そのうえで、相手の話に反応を返して話を広げ、気持ちよく話してもらうための方法が拡張話法です。驚きや感心を声に出す感嘆、相手の言葉をそのまま繰り返す反復、気持ちに寄り添う共感、行動や考えを認めてほめる称賛、そして話の続きを促す質問の 5 ステップです。
実践のヒント 次に誰かの話を聞くとき、相手の言葉を一度そのまま繰り返してから返事をしましょう。
理想は、相手に多く話してもらい、自分は聞き役にまわる配分です。相手が話している途中で話を奪い、自分の話にすり替えるのは、やってはいけない行為として挙げられています。話題の選び方にも気を配り、陰口やその場にいない人の悪口は避けます。代わりに勧めているのが、ほめ言葉や前向きな言葉、心が温まる話を中心にしたプラストークです。
実践のヒント 相手の話に自分の体験をかぶせたくなったら、先に質問を一つ返しましょう。
言葉の奥で本当に相手に伝わっているのは感情です。だから、言葉の内容だけでなく、その裏にある気持ちを受け止めることが大切になります。そして本書が最後に説くのは、どんな話し方の技術よりも、相手の幸せを願う気持ちが大切だということです。拡張話法や 4D ワードは、その気持ちを会話の形にするための道具と考えるとよいでしょう。
実践のヒント 次の会話では、相手の言葉の裏にある気持ちを想像し、それに合った一言を返しましょう。
本書の会話のルールを、場面ごとに「すること」と「避けること」に分けて並べました。どれも、相手が安心して話せる場をつくるためのものです。
| 場面 | すること | 避けること |
|---|---|---|
| 話す相手 | 大好きな人と話す
| 苦手な人との会話を無理に続ける |
| 反応する | 否定しない
| 4D ワード
|
| 話を聞く | 拡張話法
| 話を奪う
|
| 話す量 | 聞き役にまわる
| 自分ばかり話す |
| 話題 | プラストーク
| 陰口・悪口
|
拡張話法の 5 ステップ: 感嘆(驚きや感心を声に出す)→ 反復(相手の言葉を繰り返す)→ 共感(気持ちに寄り添う)→ 称賛(行動や考えを認める)→ 質問(話の続きを促す)。
読み返すより、思い出すほうが記憶に残ります。答えを見る前に考えてみましょう。
会話で本書が最も大切にしている基本ルールは何ですか?
相手を否定しないこと。
本書が使わないよう勧める「4D ワード」とは何ですか?
でも、だって、どうせ、ダメ。
どれも、相手の話を否定する響きを持つ言葉です。
「拡張話法」とは何ですか?
相手の話に反応を返して話を広げ、気持ちよく話してもらうための聞き方。
感嘆・反復・共感・称賛・質問の 5 ステップで構成されます。
どんな話し方の技術よりも大切だと、本書が最後に説くものは何ですか?
相手の幸せを願う気持ち。
会話に苦手意識があるなら、読む価値があります。難しい理論はなく、次の会話からすぐ試せることが中心です。